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切削油の種類・選び方

切削油の規格はJIS K2241─2000(切削油剤)として定められている。そのなかでは切削油剤として水溶性性切削油剤と不水溶性切削油剤の二つに大別され、それぞれに関して更に図1に示すように細分化されている。
 ・ 不水溶性切削油剤(N種)にはN1種よりN4種まで更に再分類されている。ここでの大区分は銅に対する腐食性を基準としている。銅板腐食指標は100°Cの油のなかに1時間磨いた銅板を浸したときに変色する度合いを見て、4等級の数字で腐食性を判定する。銅板腐食性が弱いものについては、硫黄添加物の含有程度で細分している。
 ・ 水溶性切削油剤(A種)に関しては外観の色と表面張力の大きさでA1からA3まで分類し、それぞれに関して1号から2号までの細分類種がある。

 このようにJISでの切削油の分類は切削に対する油の機能面からの視点は希薄であり、この分類から切削条件にあった油を見つけ出すことは難しい。これは油が化学製品であることと切削油の中に入れられる添加剤の環境面、衛生安全面へ影響を考えなければならなくなってきたことによる。特に塩素系の添加剤は切削油にとっては優れた性能を出すために使われていたが、ダイオキシン問題も考慮して2000年に改訂された規格から外され、今後は使用しないように薦めている。
 したがって切削油の選定にあたっては、切削条件から求められる油への要求項目と平行して労働安全面及び環境面の配慮を同時に考慮して行う必要がある。加工条件にあった油を選定するには切削油製造メーカが推奨している油種の中から選ぶことになるが、最終的な決定までには何回か見直しが必要である。その手順の例を図2に示す。

図1 JISによる切削油の分類


図2 切削油の選定手順の例1)




1) 精密工学会、精密加工実用便覧、p44、(2000)、日刊工業新聞社


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