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切削モデル・切くず生成

 切削モデルは一般に2次元平面で考えられることが多い。図1はその一例で、旋削状態で言うと回転面を平面上に引き延ばした状態と考えることができる。したがってここには送り分力はなく、切削力の成分は主分力Fcと背分力Ftのみが働くものと考える。
 いま工具が右から左へFcの力で被削物を押していったとすると、被削物はせん断面に沿って破壊が起こる。つまり切削とはせん断破壊によって進行するという理解である。このことは主分力はせん断のために要する力と、せん断面の法線方向に働く力Fnに分解出来ることを示している。一方、工具側で作用した切削力は工具を押したことによって発生した切くずがすくい面に沿って移動するために、すくい面と切屑の間に摩擦力が発生するので、工具側の主分力はここでの摩擦力Tとそれに対する法線力Nで対抗することになる。これらの力の関係は図1(b)に示すように、切削力Pを直径とする円に内接する直角三角形で表すことができる。
 ところでせん断力は被削材の材料によって変わってくる。そのせん断変形応力をτsとし、切り取られる厚みをt、紙面に直角方向の切取幅をbとすると、せん断に必要な力Fcは次式(1)で与えられる。
              (1)
 ここでφをせん断角と言い、これの測定は簡単ではないが切屑の厚みから求めることができる。 切屑の形態を大別すると次の3種に分けることができる(図2)。
  1) 流れ形 : 一様な断面を持ちなめらかな形状を持つもの。
  2) せん断形 : 周期的に部分的なせん断を起こし深い括れを持つもの。
  3) 亀裂形 : 間欠的に完全な破断を起こし、小片に分離しているもの。
  4) むしれ形 : 被削材が工具に粘着を起こしてむしりとられた形状を取るもの
 切屑内に破断が起こると切削抵抗が大きくなり、仕上げ面が悪くなったり、工具の欠損の原因になったりするが、切屑処理はしやすい。またどのような切屑がでるかは切屑材質のもろさと、その切屑が発生したときに受けるせん断歪みの大小によってきまる。


図1 切削モデル1) 

図2 切屑の種類2)


 1) 稲田重男、寺田利邦、中沢弘、大学課程 機械工作、(1995)、p23、オーム社
 2) 日本機械学会、機械工学便覧B-2−119、日本機械学会

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