金属プレスHome プレスの基礎 > プレス概論 > 第13章 絞り加工の力学 : 荷重−伸び
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絞り加工の力学 : 荷重−伸び

絞り加工に関わる材料の特性は引張り試験法によって得られるが、その方法は規格(JIS Z 2241)によって定められている。試験はJIS Z 2201によって定められている短冊形の引張り試験片の両端に力を加えて引張り、荷重を増やしていったときの荷重の大きさと試験片の形状変化を測定する。その変化状態を図1に示す。

最初の状態は荷重の大きさに比例して歪みは増加するが、降伏点に達するとこの比例関係は成立しなくなる。ここまでの領域を弾性領域といい、荷重を除け歪みは0になり元の状態に復元する。しかし降伏点に到達した後は力を除いても元の状態に戻らなくなる。この領域を塑性領域という。降伏点を通りすぎるとわずかの力でも歪みが発生し伸びてくる。この部分を降伏伸びという。

ここで更に力を加えると力の増加にしたがって歪みが増加する領域にはいる。ここを一様伸び領域という。しかしある荷重を境にしてそれよりも小さい荷重でも伸びるようになり、ついには破断に至る。この降伏点以後の伸びを全体伸びといている。絞り加工は破断に至るまでの伸び領域を用いて成形する方法である。


図1 荷重と伸びの関係