デバッガー操作説明書

    1. 概要

    2. アプリケーションビルダーでは、作成したアプリケーションの不具合 バグ の発見や修正を支援する
      機能を提供しています。
      アプリケーションに不具合があり、意図しない動作や異常終了が起きた場合、不具合の位置とその原因を調べる必要があります。
      動作しているアプリケーションの状態を調べたり、挙動に介入したりする機能を総称してデバッガ 「バグを 取り除くもの」という意味 ) と呼びます。
      デバッガには、アプリケーションの実行を特定の位置で一時停止する「ブレークポイント」機能や、一つずつ動作を確認しながらメソッド起動 を実行する「ステップ実行」機能、実行中の引数や戻り値などの状態を見る「トレース」機能が備えられています。
    3. 用途

      1. アプリケーションの実行を指定位置で一時停止する
      2. メソッド起動を一つずつ実行する
      3. 実行中の変数の値を参照する
    4. 用語説明

      1. ブレークポイント
      2. ブレークポイントとは、アプリケーション内の処理の途中につける「しるし」 のこと で、アプリケー ションの実行を一時停止する「場所」を指定するために使用されます。
        ブレークポイントはメソッド起動に対して設定することができ、設定された場合にはそのメソッド起動が実行される直前で一時停止し ます。
      3. ステップオーバー
      4. ステップオーバーは、一時停止している位置のメソッド起動が完了した直後まで、実行を進めて停止 することを指します。
      5. ステップイン
      6. ステップインは、一時停止している位置のメソッド起動を実行する際に、その処理中でさらに他の メソッド起動が呼び出されている場合に、その呼び出されるメソ ッド起動の直前で停止することを指します。
        このような状況は、メソッド起動によってイベントが発生する場合などに生じます。
        一方、一時停止している位置のメソッド起動を実行する際に、その処理中で他のメソッド起動が呼び出されていない場合には、ステッ プオーバーと同様にそのメソッド起動が完了した直後まで、実行を進めて停止します。
      7. ステップアウト
      8. ステップアウトは、ステップインで述べたメソッド起動中のメソッド起動が生じている状況で、停止位置のメソッド起動の呼び出し元 であるメソッド起動が完了した直後まで、実行を進めて停 止することを指します。
      9. 再開
      10. 一時停止しているアプリケーションの実行を再開することを指します。再開後の処理にブレークポイントが設定されている場合は次の ブレークポイントで一時停止します。

    操作方法

    1. ブレークポイント

      1. ブレークポイントの設定
        1. 処理を一時停止したいメソッド起動の接続先コンポーネント上でマウスを右クリックして、ブレークポイント設定/解除 メニューを選択する
        2. 接続コンポーネントの横に(ピンク 色の丸印)が 表示される

        ※ブレークポイントを設定した状態でアプリケーションを保存した場合、ブレークポイントの情報も同様に保存されます。

      2. ブレークポイントの解除
        1. ①ブレークポイントが設定されている起動メソッドの接続先コンポーネント上でマウスを右クリックして、ブレークポイ ント設定/解除メニューを選択する
        2. 接続コンポーネントの横のが 消去される
    ブレイクポイントの設定(クリックして拡大)

    1. デバッガーの起動

      1. アプリケーションビルダーのメニューバーから【アプリケーション】‐【デバッグ】を選択する
      2. デバッグ画面が起動される
    デバッガーの起動(クリックして拡大)

    1. デバッグ画面の説明

      1. 番号 名称 機能
        開始/再起動ボ タン デバッグの開始や再起動をおこなう
        終了ボタン デバッグを終了する
        再開ボタン *1
        ステップインボ タン *1
        ステップオー バーボタン *1
        ステップアウト ボタン *1
        メソッド展開ボ タン ブレークポイントが設定されたメソッド起動の引数のう ち、メソッド戻り値型の値取得メソッドについて、メソッド処理結果型に変更し展開する (デバッグ開始前 ・終 了時 のみ有効)
        メソ ッドコール 処理が完結していないメソッドをリスト表示する *2
        スタックパネル 引数と属性パネル 実行されるメソッドの引数と属性を表示する*3
        メソッド処理結 果リスト パネル 実行しているイベントのメソッド処理結果を表示する*4
      *1  1.用語説明 参照
      *2  4 11. メソッドコールスタックパネル 参照
      *3  4 1 3 引数と属性パネル 参照
      *4  4 1 4 メソッド処理結果リストパネル 参照

    1. 開始/再起動

      1. 開始/再起動 ボタンを押下する
      2. ブレークポイントが設定されているコンポーネントの情報が
        デバッグ 画面に表示され、ビルダー画面に矢印が表示される

      ※デバッグ中に開始/再起動ボタンを押下すると、もう一度最初から処理が開始される

    デバッグ開始時画面例(クリックして拡大)

    1. デバッグ終了

      1. 終了 ボタンを押下する
      2. デバッグ実行が終了する
      3. デバッグ情報がクリアされる
    デバッグ終了時

    1. 再開

      1. 再開 ボタンを押下する
      2. 実行しているイベントの次のブレークポイントまで処理を進める

      ※実行しているイベントにブレークポイントが設定されていない場合は、そのイベントの処 理が終了します。

    デバッガー再開(クリックして拡大)

    1. ステップイン

      1. イベントの発生しないメソッド
        1. ステップインボタンを押下する
        2. メソッド実行後の状態に移動する
    ステップイン イベントの発生しないメソッド
    1. イベントの発生するメソッド
      1. ステップインボタンを押下する
      2. 内部から呼び 出されたイベントのメソッド処理に移動する
    ステップイン イベントの発生するメソッド
      1. 複合コンポーネント
        1. ステップインボタンを押下する
        2. 複合コンポーネント内の処理に移動する

        ※複合コンポーネントの起動メソッドからイベントが発生しない場合は、7-1(イベントの発生しないメソッド)と同じ処理をす る

        ※パスワードロックが設定されている場合はステップオーバーと同じ処理を行う

    ステップイン 複合コンポーネント

    1. ステップオーバー

      1. ステップオーバーボタンを押下する
      2. メソッド実行後の状態に移動する

      ※ステップオーバーでは、起動メソッドから呼び出されるイベントや、複合コンポーネントであってもメソッド実行 後の状態に移動する

    ステップオーバー

    1. ステップアウト

      1. ステップアウトボタンを押下する
      2. 呼び出し元のメソッドの実行後の状態に移動する

      ※ステップオーバーでは、起動メソッドから呼び出されるイベントや、複合コンポーネントであってもメソッド実行 後の状態に移動する

    ステップアウト

    1. メソッド最後のステップ実行

      1. ステップインかステップオーバーを押下する
      2. 最後のメソッドを処理して戻り値を取得する
    メソッド最後のステップ実行

    1. メソッドコールスタックパネル

      1. メソッド履歴パネルの行を選択する
      2. 選択したメソッド情報を確認できる

      ※画面表示を切り替えても実際の処理停止位置は移らない。

    ステップアウト

    1. メソッド展開

      1. メソッド展開ボタンを押下する
      2. ブレークポイントが設定されたメソッド起動の引数のうち、メソッド戻り値型の値取得メソッドがメソッド処理結果型に変更して メソッドの外に展開する(デバッグ開始前・終了時のみ有効)
    メソッド展開

    1. 引数と属性パネル

        番号 説明
        接続先コンポーネント名
        (矢印が表示されているコンポーネント)
        起動メソッド名
        (ビルダーに表示されている起動メソッド名)
        起動メソッド引数
        (固定値)
        引数の説明と型
        (起動メソッド情報画面の説明と型)*1
        引数の値
        (起動メソッドで処理される値)*2
        起動メソッド属性
        (固定値)
        属性名
        (コンポーネント属性情報の属性名と同じ)
        属性値
        (コンポーネント属性情報の属性値と同じ)*3

        *1.説明が無い場合は「NO COMMENT」と表示される  
        *2.起動メソッドに引数が無い場合は表示されない  
        *3.属性値に値が無い場合は表示されない

    1. メソッド処理結果リストパネル

        番号 説明
        接続先コンポーネント名とイベント名
        起動メソッド名
        (ビルダーに表示されている起動メソッド名)
        起動メソッド戻り値
        >起動メソッドの処理結果*1

        *1.戻り値が無い場合は「NULL」と表示される  

    1. イベントキュー画面

      1. ステップ実行中(停止中)に別のイベントが発生する  
      2. イベントキュー処理画面が表示される
      番号 説明
      接続コンポーネント名
      発生イベント名
      表示されているイベントに関して、次回以降の発生時に⑤または⑥の決定を常に有効にする。
      表示されているイベントに関して、次回の発生時にも同じ選択画面を表示する。
      ➂・➃で選択した条件でイベントをキューに追加する
      ➂・➃で選択した条件でイベントキューに追加しない
    メソッド展開

    デバッガの制限事項

    1. デバッガの制限事項

      1. デバッグ実行中は、ビルダー本体のメニューやボタンを押下しないで下さい。
        その場合には、その後のデバッグ 実行の挙動は保証できません。
      2. パスワードロックされている複合コンポーネント内はステップ実行出来ません。
        複合コンポーネント内をステップ実行したい場合は、ロックを解除してから実行して下さい。
      3. ステップ実行中に他のイベントが発生した場合(ボタンを押下、タイマーイベント等)、後から発生したイベントは、ステップ実 行中の イベント処理が終了した後処理されます。
        (イベントキューに追加されます。)
        イベント発生時、確認ダイアログが表示されますので、イベントキューに追加しない事も出来ます。
      4. マルチスレッドでの並行処理を同時にステップ実行する事は出来ません。
        ステップ実行ではスレッドが一つずつ処理されます。
      5. ステップ実行中にモーダルダイアログを使用した処理に入ると正常に動作しません。
        デバッグ機能の性質上、ステップ実行中はすべての ダイアログを一時的に非モーダル化しているためで、ダイアログが閉じてから実行されるはずの処理が先に実行されます。
      6. ステップ実行中にデバッグ画面の終了ボタンを押下した場合、アプリケーションを強制的に終了しますので、ファイルオープンや データ ベース接続等のメソッドを追加した場合、それに対応するクローズ処理を行うメソッドを追加し、起動モードをFinally起動にして 下さい。
        Finally起動に設定されたメソッドは、強制終了した場合でも必ず実行されます。
        (オープンしたファイルをクローズしないで終了した場合、次回のファイルオープンでエラーになります。)
      7. 実行対象でないイベント番号のメソッド処理結果もメソッド処理結果リストに表示されます。