電解研磨技術とは

- 新しい電解研磨 -

電解砥粒研磨

加工方法
大径円筒内面
 電解砥粒研磨により内径100mm以上の管や円筒容器内面の表面粗さを効率的に改善する方法である。大径管では摩擦抵抗の関係から全面同時の研磨は難しい。このため、図に示すように、管を回転させながら内周の一部に研磨材を押付ける一方、これと反対側に電極を配置して電解を行う方式をとる。工作物を回転させる方式でもよい。この電極は研磨材で覆われていないので、印加電圧、電極間隙の設定次第では、高速電解仕上げ用の高電流密度範囲にすることができる。この加工条件は、大きな研磨速度が得られるので、表面の加工変質層を除去するなどの目的には適している。しかし、ミクロ凹部の研磨速度もかなり大きくなるため、表面粗さ改善の目的での使用に際しては、電流密度の設定に十分な配慮を必要とする。

 図1.大径円筒内面の電解砥粒研磨法 
小径円筒内面
 電解砥粒研磨により内径3~50mm程度の管や穴内面の表面粗さを精度良く、効率的に改善する方法である。数μmRyオーダーの下地面粗さを各2~3分の荒、中、鏡面仕上げの3工程により、0.1μm Ryオーダーにまで低減する。工具電極は芯電極にウレタン、ナイロン不織布を螺旋状に巻き、両端を固定して構成する(図1)。工作物内径よりやや大きい工具外形が挿入時に圧縮されて押付圧を生じる。工具に回転と同時に軸方向の数mm幅の往復運動を与えることにより(図2)、砥粒の運動軌跡に適当な交差角が生じる。長さ100mm程度までの工作物は、全面を同時に研磨するが、それ以上になると100mm程度の工具を軸方向に定速送りする方式をとる。

 図1.小径円筒内面用の電極工具構成 

 図2.小径管内面の電解砥粒研磨法 
一般平面
 円板形電極の底面に研磨材を装着(中心部にネジ止め)して工具を構成する(図1)。外部から大気圧で供給した電解液は、電極の小穴から研磨材中へ自重で落下し、遠心力により加工域を通過して流出する。研磨材は、荒研磨、中仕上げにはナイロン不織布(砥粒が樹脂で固着されている。粒度#150~2500程度)、鏡面仕上げにはウレタン材(アルミナ砥粒を電解液中に混入)を用いる。電解液は20wt%硝酸ソーダNaNO3水溶液、工具回転300~600rpm、押付圧10~20kPa、印加電圧5~20Vを標準とする。自動研磨装置では押付圧を定荷重方式で付加し、送りにはXYテーブルをプログラム制御方式で駆動する。工具の外周部を使用する形で緩やかな自由曲面の研磨も可能である(図2)。

 図1.平面用の標準的な工具電極 

 図2.自由曲面の電解砥粒研磨 



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