3Dプリンタの歴史

 
当時の環境
EWS
FORTRAN77
1970年代末-1980年代初頭 3Dプリンタの原理発明(液槽光重合法
Alan J.Herbert氏(当時米国3M),丸谷洋二氏(当時大阪府立工業技術研究所),Charles W.Hull氏(当時米国UVP社)
 個別に同様の特許を出願
PC普及
MS-DOS
DOS/V
1986年 Charles W.Hull氏(当時米国UVP社)が3DSystems社を設立
 翌年,最初の液槽光重合法造形装置を発売.現在ほとんどの3Dプリンタが受け取れるファイルフォーマット「STL」を開発.
1988年 三菱商事(後にシーメット社)が国産液槽光重合法造形装置を発売.
1989年 S.Scott Crump氏が材料押出法の一つであるFDM(Fused Deposition Modeling)の原理を発明.特許化し,Stratasys社を設立.最初のFDM方式3Dプリンタを発売した.
windows3.1
WWW登場
1992年 米DTM社が粉末床溶融結合法造形装置を発売.
1993年 理化学研究所で開発された技術を元に米Zcorporation社が結合剤噴射法のフルカラープリンターを発売.
1994年 キラ・コーポレーション社がシート積層法の一つである紙積層装置を発売.
2004年 Adrian Bowyer教授(英バース大)が,オープンソースの3Dプリンタのアイデアを公開した.RepRapという名前はReplicating Rapid-prototyperから付けられた.RepRapはFDM方式の3Dプリンタで,ネット上の部品を3Dプリンタで作り,組み立てることによって,材料費約350ユーロで完成する.
Windows7 2009年 FDM方式の基本特許権利期間が終了.多数の小型パーソナル3Dプリンタ商品が出現.PCの性能向上により,個人でも3Dデータが作成できるようになり,多数の3DデータがWebサイトで流通し,個人によるものづくりが流行した.
ASTMにAdditive Manufacturing(3Dプリンティング)という言葉を定義してF42専門委員会が発足.
SmartPhone 2011年 ISOにAdditive Manufacturingの規格を策定するTC261委員会が発足.
Windows8 2012年 Chris Andersonが「Makers」という本で,maker movementを提唱.これは,3Dプリンタによって誰もがディジタル製造を行うことができるという製造業の民主化である.
2013年 米国オバマ大統領による一般教書演説のなかで、3Dプリンタに言及.3Dプリンティングの実用化を研究する専門機関(現America Makes)を設立し,国家的に活用推進を始めた.
 同時期に,ドイツを中心とした欧州で,粉末床溶融結合法による金属3Dプリンタの進歩,各種合金(マルエ-ジング鋼,コバルトクロム,チタン合金,インコネル)の造形材料普及など実用部品の生産に適用する動きが活発化.
 一方,樹脂材料押出法では,当初ABS樹脂のみだった材料に,耐熱性,機械的強度,難燃性など高機能樹脂が加わった.3Dプリンタの大型化,高速化も進んだ.これにより,実部品,治具,樹脂・金属成形型などを作ることができるようになった.
2013年 日本でも技術研究組合(TRAFAM)が発足し,金属材料に関わる3Dプリンタの高機能,高精度化を目指している.
引用文献:丸岡浩幸,3Dプリンティングの変遷,設計工学,Vol.51,No.5(2016),pp.303-310.