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加工変質層・残留応力

  加工によって材質的に変化した表面層を加工変質層と呼ぶ。その原因は機械的エネルギによるもの、熱エネルギによるもの、この両者を複合したものなどが考えられる。機械的エネルギによるものでは塑性変型による表面の格子欠陥の乱れや増加、結晶粒の変形、微細化、あるいは表面流動などを起こす。また熱エネルギによるものでは相変態、組織変化、熱亀裂の発生を起こす。
 このような加工変質層では残留歪みを起こしているために、残留応力が発生しポテンシャルエネルギの形でエネルギが蓄えられている。そのため加工変質層部分は生地に比べてエネルギレベルが高く、化学変化がおきやすい。このことは耐食性も劣ることになる。
 切削加工による加工変質層の深さは最大400μm程度を見込めばよいが、実験式としては加工変質層の厚さy0は次式(1)で与えられている。

          (1)

ここで|R| : 合成切削抵抗、 K : 被削材の最大せん断応力

 図1は切削条件による表面残留応力の影響を求めた結果を示す。図から切削速度が遅いと表面に近いところで大きな圧縮の残留応力が働き、速度が速くなると表面に大きな引張り応力が働くことが分かる。また送り量との関係では大きいほど表面残留応力は大きくなるが、切込みによる影響はそれほど大きくはない。


図1 切削条件と残留応力の関係1)

1) 竹山秀彦、大学講義 切削加工、p132、(平成7)、丸善



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