射出成形Home薄物成形標準データベース
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モールダーが実際に成形をする上で、成形する材料の成形条件を決定する際に、成形収縮率、シリンダー温度、メルトフローレート、樹脂温度、金型温度等の物性データ・成形性データが必要になります。一般的には材料メーカーの提供するデータ、もしくはJISやISOの試験規格データを参照して行うのですが、現実にはこれらの公表データはおおまかな目安としての利用にとどまっています。

 それはすなわち、プラスチックは成形における形状・寸法の影響が顕著に現れる材料であり、規格や材料メーカーの示す物性データが、モールダーの欲しいスケールに合致してデータが提示されているわけで無く実成形品を対象とする現場の成形に生かしにくいからです。例えば粘度を例にとれば、MFR値は試験器内の流動を示す値で、実機での金型内の流動と異なります。従って、試行錯誤の成形条件出しを強いられるのが現状です。
また近年、活用が期待されているCAEを用いた解析では、実成形前に状況把握でき有用ですが、解析の精度に対し、材料物性の正確さが非常に大きな影響を及ぼすため、上記の問題が残る以上、正確な数値予測は難しいといえます。昨今の成形品の薄肉化・微細化の流れの中で、このような不具合の克服は成形業界では非常に大きな課題となっています。
さらに、これまでメーカーごとに材料の物性データが提供されているのですが、それぞれ異なる試験機器・方法によって得られたデータであり、また、試験および実成形に用いる成形機のもつ影響も非常に重要な要素であって、「成形条件の正確な予測」という目的のために、業種を跨いだ成形業界全体としての共通の試験評価方法を導入することが必要であると考えられます。

 本データベースでは、上記の問題への解決策となるよう、精密成形という目的に応じた評価試験により、特に薄物・微細といった精密成形に対す標準データとなる薄物バーフロー流動試験を通じて、実成形への摘要を目的とした材料物性データの提供を致します。