第6回調査報告書(平成17年度)
- はじめに
- この調査は、独立行政法人産業技術総合研究所中国センターの、ものづくり基盤技術支援室が、平成17年10月から11月にかけて、中国地域5県に本社又は事業所が存在する金属切削加工企業を対象に、業務概要、抱える問題点、支援機関への要望等を調査したものである。
- 平成16年10月上旬に、西日本電信電話株式会社(NTT西日本)が発行しているタウンページ(職業別電話帳)の職業別分類の“金属切削加工企業”に電話番号が記されている企業等の1811社に調査票を郵送し、このうちの331社から有効回答を得た。
- 回答していただいた企業の方々に深く感謝いたします。
- 調査結果概要
- 前記の実質回答企業331社について回答を集計した。以下に示す%表示の数値は、この331社を100%とした比率である。
- なお、以下に示す棒グラフの大部分においては、企業規模による傾向の違いも検討できるように、回答企業数を従業員数別に8段階に分類・色分けして表示した。
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調査結果
以下の文章で、%表示の数値は、回答企業331社を100%とした百分率である。
なお、図3以外の棒グラフにおいては、企業規模による傾向の違いも検討できるように、回答企業数を従業員数別に8段階に分類・色分けして表示した。
<1 回答企業の概要>
1.1 県別比率
331社の回答企業のうち、広島県が53%(174社)、岡山県が25%(82社)、山口県が9%(31社)、島根県が7%(24社)、鳥取県が5%(18社)であった。県別分布のグラフを図1と図2に示す。
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図1 県別の回答企業数 | |
図2 回答企業数の県別比率 |
1.2 従業員数別比率
回答企業の従業員数別の内訳を図3と図4に示す。従業員数が1人から299人の企業までは比較的満遍なく回答をいただいたが、なかでも従業員数が10〜19人の企業の比率が最も高かった。従業員数が1桁(9人以下)の企業の数は93社であり、全体の28%であった。
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図3 従業員数別の回答企業数 | ||
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図4 回答企業の従業員数別比率 |
1.3 創業年代
集計結果を図5に示す。江戸・明治が3%(9社)、大正が3%(9社)、昭和元〜20年が8%(28社)、昭和21〜40年が34%(114社)、昭和41〜63年が35%(115社)、平成が8%(28社)であり、戦後の昭和時代に創業した企業が多い。なお、従業員が3人以下の企業は全て戦後創業である。
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図5 創業年代の分布 |
1.4 ホームページの有無
集計結果を図6に示す。“ある”と回答した企業が38%(126社)であり、“ない”と回答した企業の27%(90社)よりやや多かった。この比率を従業員別にみると、従業員が、19人以下の企業では“ない”と回答した企業が“ある”と回答した企業よりも多いか同数であったが、従業員が20人以上の企業においては“ある”と回答した企業が“ない”と回答した企業よりも多く、一般に従業員が多い企業ほど“ある”の比率が高い。
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図6 ホームページの有無 |
1.5 電子メールの有無
集計結果を図7に示す。どの従業員数区分においても、“ある”と回答した企業が“ない”と回答した企業が多かったが、一般に従業員が多い企業ほど“ある”の比率が高かった。
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図7 電子メールの有無 |
<2 設問への回答>
2.1 回答企業の切削内容
問1 | 貴社が切削する部品はどの分野で使用されるものですか。該当番号に○印を付けて下さい。 その他、の場合には具体的に記入してください(問2以下も同様)。 (複数回答可) |
1.輸送用機械 2.一般・精密機械 3.鉄鋼・金属 4.電気・電子 5.土木・建設 6.化学 7.食品 8.繊維 9.紙・パルプ 10.その他( ) 11.不明 |
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図8 切削する部品の使用分野 |
集計結果を図8に示す。“一般・精密機械”が最も多くて、65%(215社)の企業がこの分野の部品を切削している。次いで“輸送用機械”が37%(121社)、“鉄鋼・金属”が24%(79社)、 “電気・電子”が20%(66社)、等の順であった。
問2 | 貴社はどの切削用工作機械を所有していますか。該当番号に○印を付けて下さい。(複数回答可) |
1.旋削 2.正面フライス切削 3.マシニングセンタ 4.ボール盤 5.歯切り盤 6.専用自動盤 7.その他( ) |
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図9 所有する切削用工作機械(複数回答可) |
集計結果を図9に示す。“旋盤”、“フライス盤”、“マシニングセンタ”、“ボール盤”が比較的多いが、なかでも“ボール盤”が最も多くて88%(292社)の企業が所有している。次いで、“旋盤”が86%(285社)、“フライス盤”が81%(268社)、“マシニングセンタ”が69%(228社)、等の順であった。
マシニングセンタは、フライス盤と同じ種類の加工ができる上に工具交換機能が付いている工作機械である。図には、マシニングセンタとフライス盤の両方を所有している企業数も示した。前者は62%(206社)、後者は88%(290社)であり、後者はボール盤所有企業数、旋盤所有企業数とほぼ同じである。
問3 | 貴社はどの切削を行っていますか。 該当番号に○印を付けて下さい。(複数回答可) |
1.旋削 2.正面フライス切削 3.エンドミル切削 4.平削り 5.穴あけ 6.中ぐり 7.歯切り 8.ねじ切り 9.その他( ) |
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図10 行っている切削加工法(複数回答可) |
集計結果を図10に示す。歯切り以外の切削法が比較的満遍なく行われているが、なかでも“穴あけ”が最も多くて90%(298社)の企業が行っている。次いで、“エンドミル切削”が84%(278社)、“旋削”が82%(270社)、“正面フライス切削”が67%(222社)、“ねじ切り”が66%(217社)、等の順であった。
問4 | 貴社はどの材料を切削していますか。 該当番号に○印を付けて下さい。(複数回答可) |
1.炭素鋼 2.ステンレス鋼 3.工具鋼 4.その他の特殊鋼 5.鋳鉄 6.アルミニウム合金 7.銅合金 8.ニッケル合金 9.チタン合金 10.マグネシウム合金 11.その他( ) |
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図11 切削している材料 |
集計結果を図11に示す。“炭素鋼”が最も多くて、76%(251社)の企業がこの材料を切削している。次いで“ステンレス鋼”が67%(222社)、“アルミニウム合金”が58%(193社)、“鋳鉄”が52%(171社)、等の順であった。
表4(22頁)に、11.“その他”欄に記された回答を示す。この中では、樹脂類が9社から、モリブデン合金が4社からあった。
問5−1 | 貴社が最も多く切削する工作物材種は何ですか。 以下に記して下さい。 |
[(例:S45C、FC250、インコネル718)] |
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図12 最も多く切削する工作物材種(複数回答可) (比較的多かったもの) |
集計結果を図12に示す。自由記入であるために様々な回答をいただいたが、比較的多く挙げられた材種について集計した結果を図12に示す。“機械構造用炭素鋼(S**C)”が最も多くて、44%(144社)の企業がこの材種を最も多く切削しており、なかではS45Cが最も多い。次いで、“一般構造用圧延鋼材(SS***)”が33%(110社)であり、なかではSS440が最も多い。その次は、“ステンレス鋼(SUS***)”の22%(74社)であり、なかではSUS304が最も多い。さらに、“ねずみ鋳鉄(FC***)”が18%(59社)、“クロムモリブデン鋼(SCM***)”が13%(44社)、等の順であった。
問5−2 | その工作物の用途は何ですか。 以下に記入して下さい。わからない場合には“不明”を○で囲って下さい。 |
(例:回転軸、金型、歯車) |
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図13 その工作物の用途(10社以上が回答したもの) |
具体的な回答を多数いただいたが、自由記入であるために当然ながら用語が不統一であった。あえて分類して、比較的多く挙げられたものをまとめたものが図13である。それによると、“金型”が最も多くて18%(60社)であり、次いで、“軸”が16%(52社)、“歯車”が7%(24社)、“軸受”、“工作機械(部品)”、“機械(部品)”が4%(14社)、“カバー・ケース・ハウジング”、“治具・治工具”が4%(13社)、等の順であった。
問5−3 | その工作物の加工後の寸法はどのくらいですか。 該当番号に○印を付けて下さい。 |
1)10mm未満 2)10mm以上〜100mm未満 3)100mm以上〜500mm未満 4)500mm以上〜1m未満 5)1m以上 |
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図14 工作物の加工後寸法 |
集計結果を図14に示す。最も多い寸法は“100mm以上〜500mm未満”であり、56%(187社)の企業がこの範囲の寸法の工作物を最も多く切削している。次いで、“10mm以上〜100mm未満”が53%(174社)、“1m以上” が30%(98社)、“500mm以上〜1m未満”が28%(93社)、“10mm未満”が22%(72社)の順であった。
問5−4 | その工作物に要求される形状(寸法)精度はどのくらいですか。 該当番号に○印を付けて下さい。 |
1)1μm未満 2)1μm以上〜10μm未満 3)10μm以上〜50μm未満 4)50μm以上 |
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図15 工作物に要求される形状(寸法)精度 |
集計結果を図15に示す。“10μm以上〜50μm未満”が他の範囲よりもはるかに多く、63%(209社)の企業がこの範囲の要求精度の工作物を最も多く切削している。次いで、“1μm以上〜10μm未満”が32%(106社)、“50μm以上”が18%(61社)、“1μm未満”が4%(14社)の順であった。
問5−5 | その工作物に要求される加工面粗さ値(最大高さ:Rz又はRy又はRmax)はどのくらいですか。該当番号に○印を付けて下さい。 |
1)0.1μm未満 2)0.1μm以上〜1μm未満 3)1μm以上〜10μm未満 4)10μm以上〜50μm未満 5)50μm以上 |
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図16 工作物に要求される加工面粗さ値 |
集計結果を図16に示す。最も多い値は“1μm以上〜10μm未満”の44%(144社)であり、次いで“10μm以上〜50μm未満”が35%(117社)である。他の区分ははるかに少なく、“0.1μm以上〜1μm”が15%(49社)、“50μm以上”が14%(47社)、“0.1μm未満”が4%(12社)の順であった。
問6−1 | 貴社では、寿命に至った切削工具の交換をどのような方法で行っていますか。 該当番号に○印を付けて下さい。(複数回答可) |
1.作業者の判断による 2.自動式寿命判定による 3.所定切削数量での交換による 4.その他( ) |
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図17 寿命に至った切削工具の交換方法(複数回答可) |
問6−2 | 問6−1で1.又は2.と回答された方にお聞きします。工具交換の基準は何ですか。該当番号に○印を付けて下さい。(複数回答可) |
1.切削面粗さ) 2.形状精度 3.切屑形状 4.切削音 5.振動 6.切削力(トルク) 7.AE(超音波) 8.機械主軸モータ電流 9.工具損傷直接測定 10.その他( ) |
図18 工具交換の基準(複数回答可)
集計結果を図18に示す。回答の最も多かったのは“切削面粗さ”であり、83%(275社)の企業が基準としている。次いで、“形状精度”が59%(196社)、“切削音”が46%(153社)、“切屑形状”が42%(138社)の順であり、これら以外の基準で工具交換している企業数は、はるかに少なかった。これら上位4種類の基準のうちで、形状精度以外は、測定機器なしに作業者が判断できるものである。なお、“切削力(トルク)”、“工具損傷直接測定”、“機械主軸モータ電流”、“AE(超音波)”は、何れも測定機器が必要な方法であり、このような工具交換基準はあまり採用されていない。
問6−3−1 | 適切な時期に工具交換できますか。該当番号に○印を付けて下さい。(複数回答可) |
1.十分にできる 2.まずまず 3.あまりできない 4.全くできない |
図19 適切な時期に工具交換できますか
集計結果を図19に示す。“まずまず”と回答した企業が57%(189社)、“十分にできる”と回答した企業が33%(108社)、“あまりできない”と回答した企業が7%(22社)であった。当然のことかもしれないが、“全くできない”と回答した企業は1社もなかった。“まずまず”と“十分にできる”を合わせて90%の企業が肯定的な回答を寄せたが、問6−3−2の回答にみるように、個別には数々の問題点が示された。
問6−3−2 | できないことがある時は、どういう場合ですか。以下に記して下さい。(複数回答可) |
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図20 できないことがある時は、どういう場合ですか。
問6−3−1に対して、“まずまず”及び“十分にできる”との回答が多かったためか、無記入のものが多く、記入いただいたのは69社であった。図20は、自由記入いただいた回答内容をあえて分類したものである。“工具の欠け(又は、チッピング、破損、折損)”と“作業者”に関するものが多く、それぞれ18社及び17社であった。次いで、“無人運転・自動運転”に関するものが9社から、“工具の磨耗”に関するものが4社から寄せられた。“作業者”、“無人運転・自動運転”に関するものの中に、工具の欠け(又は、チッピング、破損、折損)の可能性のあるものがいくつかあった。これら以外の記入内容は様々であったが、その中にも工具の欠け(又は、チッピング、破損、折損)の可能性のあるものがいくつかあった。これらの回答から判断すると、工具の欠け(又は、チッピング、破損、折損)の予備技術や検出技術の開発が大きな課題であると考えられる。
問7 | 問6関連以外で、貴社が困っている切削技術上の問題点は何ですか。該当番号に○印を付けて下さい。(複数回答可) |
1.切削面粗さ大 2.形状精度不良 3.振動発生 4.工具寿命短 5.切屑処理不良 6.切削能率低 7.油剤関連 8.段取り時間長 9.NCプログラミング時間長 10.切削費用高 11.その他( ) |
図21 問6関連以外で困っている切削技術上の問題点(複数回答可)
集計結果を図21に示す。“段取り時間長”と“工具寿命短”が他よりもはるかに多く、それぞれ36%(119社)、34%(112社)であった。次いで、“切削費用高”が21%(69社)、“NCプログラミング時間長”が18%(60社)、“切削能率低”が18%(59社)、“形状精度不良”が17%(57社)、“切屑処理不良”が15%(48社)、等の順であった。“工具寿命短”、“切削能率低”、“形状精度不良”、“切屑処理不良”などの、切削時に関する問題点が多く挙げられたが、切削準備時の問題である“段取り時間長”と“NCプログラミング時間長”も多かった。
問8 | 問6と問7で回答された問題点の解決策として、どのような方法をお考えですか。該当番号に○印を付けて下さい。(複数回答可) |
1.自社解決(独自工夫、技術資料・書籍等を参照) 2.親会社に相談 3.同業者に相談 4.県・市立工業(産業)技術センターに相談 5.国立研究所(独立行政法人に相談) 6.大学・高専に相談 7.その他( ) |
図22 問6と問7で回答した問題点の解決策(複数回答可)
集計結果を図22に示す。“自社解決”77%(256社)で、他の回答よりもはるかに多かった。次いで、“同業者に相談”が22%(73社)であった。それ以外の相談先としては、“親会社に相談”が12%(41社)、“県立・市立工業(産業)技術センターに相談”が5%(17社)、“国立研究所(独立行政法人)に相談”が1%(3社)、“大学・高専に相談”が0.6%(2社)の順であった。
なお、7.の“その他”欄に記された回答では、“工具メーカーに相談”という趣旨のものが全体の約2/3であった。
問9−1 | 未経験の仕事が来た場合に適切な切削工具・切削条件等を調べられる、無料のインターネット・ホームページがあれば利用したいですか。該当番号に○印を付けて下さい。 |
1.したい 2.内容による 3.必要ない 4.インターネットを未使用なので不明 |
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図23 適切な切削工具・切削条件等を調べられる無料ホームページの利用希望 |
集計結果を図23に示す。“したい”が43%(141社)、“内容による”が37%(123社)、“インターネットを未使用なので不明”が9%(31社)、“必要ない”が9%(29社)である。“したい”と“内容による”を合わせると80%であり、このようなホームページの利用を希望している。
問9−2 | 問9-1で、1.又は2.と回答された方にお聞きします。 どの材料のどの切削法について、このようなホームページを作成して欲しいでしょうか。以下に記入して下さい。 |
(例:ステンレス鋼の小径ドリル穴あけ) |
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図24 ホームページ作成希望の材料(自由記入) | |||
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図25 ホームページ作成希望の切削法(自由記入) |
多様な要望が139社から寄せられた。
比較的多く記された材料を図24に示す。“ステンレス鋼”が他の材料よりもはるかに多くて11%(36社)であった。次いで“工具鋼”が5%(16社)、“アルミニウム合金”が4%(13社)、“高硬度材・焼入れ材”が3%(11社)、“樹脂関係”が2%(7%)、“チタン合金”が2%(6社)、“難削材”が2%、“ニッケル合金”が1%(4社)、等の順であった。
比較的多く記された切削法を図25に示す。“穴あけ”が他の切削法よりもはるかに多くて11%(37社)であった。次いで“エンドミル加工”が4%(12社)、“ネジ・タップ加工”が2%(8社)、“フライス加工”が2%(5社)、“旋削”が1%(4社)、等の順であった。
材料と切削法の組み合わせでは、“ステンレス鋼の穴あけ”が最も多くて4%(12社)であった。この結果は、問3の回答で“穴あけ”が最も多かったことと、問4の回答で“ステンレス鋼”が2番目に多かったことに対応している。穴あけは、回答数に大きな差がなかった旋削、エンドミル切削よりも一般に加工が困難であり、ステンレス鋼は、回答数が最多の炭素鋼よりも一般に加工が困難であることを反映したものであろう。
問10 | 貴社として、問8に示したような公的機関に支援して欲しい事柄は何でしょうか。 該当番号に○印を付けて下さい。(複数回答可) |
1.技術講演会・講習会・展示会の開催 2.異業種交流会等の交流事業の開催 3.公的機関からの郵送・ファックス・電子メール等による技術情報提供 (特に入手したい情報があれば記してください。: ) 4.貴社からの電話、ファックス、電子メール等による技術相談への対応 5.技術アドバイザーの訪問による指導・相談 6.技術・製品開発に関する公的機関との共同研究 7.試作・試験・分析への対応 8.融資・補助金等の資金助成制度の拡充 9.そもそも、どこに何を問い合わせたらよいかを教えて欲しい 10.その他( ) |
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図26 公的機関に支援して欲しい事柄(複数回答可) |
集計結果を図26に示す。“技術講演会・講習会・展示会の開催”が最も多くて、31%(104社)であった。次いで、“貴社からの電話・FAX・電子メール等による技術相談への対応”が24%(78社)、“融資・補助金等の資金助成制度の拡充”が19%(64社)、“そもそも、どこに何を問い合わせたらよいかを教えて欲しい”が18%(59社)、“試作・試験・分析への対応”が15%(49社)、“技術アドバイザーの訪問による指導・相談”が14%(46社)、“技術・製品開発に関する共同研究”が12%(40社)、“公的機関からの郵送・FAX・電子メール等による技術情報提供”が10%(34社)、等の順であった。
“技術講演会・講習会・展示会”は、従来よりさまざまなものが開催されているが、企業に役立ち、参加しやすい技術講演会・講習会・展示会の企画とその宣伝が、これまで以上に必要である。
“技術相談への対応”としては、各公的機関の相談窓口を充実させること、相談窓口の存在を広く宣伝することの大切さは言うまでもないが、IT時代に対応した「テクノナレッジ・ネットワーク:“http://www.techno-qanda.net/dsweb/”」などの技術情報ホームページの内容充実と宣伝も大切であろう。
“試作・試験・分析への対応”を希望する企業もかなりあり、各公的機関における各種試験・分析対応体制の宣伝が大切であろう。
ところで、従業員19人以下の企業からの回答だけみると、“そもそも、どこに何を問い合わせたらよいかを教えて欲しい”が最も多かった。この理由としては、公的機関の企業支援に関する情報が小企業に伝わっていないことが考えられ、公的機関からの特に小企業に対する一層の情報発信が必要であろう。
問11 | 貴社で、切削以外に行っている加工法があれば、該当番号に○印を付けて下さい。(複数回答可) |
1.鍛造 2.鍛造 3.金属プレス 4.射出成形 5.研削 6.研磨 7.放電加工 8.レーザ切断 9.レーザ溶接 10.アーク溶接 11.めっき 12.PVD・CVD 13.溶射 14.熱処理 15.その他( ) |
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図27 切削以外に行っている加工法(複数回答可) |
集計結果を図27に示す。“アーク溶接”が最も多くて、39%(116社)が回答した。次いで、“研削”が33%(110社)、 “研磨”が26%(87社)、“放電加工”が19%(64社)、“金属プレス”が17%(57社)、等の順であった。
<3 まとめ>
中国地域5県の金属切削企業を対象に、切削概要、切削技術上の問題点、外部からの技術支援策等に関するアンケート調査を行い、331社から回答を得た。主な回答内容は以下の通りである。
- 1.切削概要
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・所有している工作機械は多い順に、ボール盤、旋盤、フライス盤、マシニングセンタ、等であった。
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・行っている切削法は多い順に、穴あけ、エンドミル切削、旋削、正面フライス切削、等であった。
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・切削している材種は多い順に、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金、鋳鉄、等であった。
- 2.切削技術上の問題点
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・寿命に至った切削工具の交換法は、作業者の判断によるものが多く、自動式工具寿命判定法を使用している企業は少なかった。
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・切削工具の交換はおおむね適切な時期に行われているが、工具に欠け(又は、チッピング、破損、折損)が発生することにより、うまくできない場合があるとの指摘がかなりの企業からあった。
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・工具交換時期以外の切削技術上の問題点としては、段取り時間長、工具寿命短、切削費用高、NCプログラミング時間長、切削能率低等の、切削時に関するものと切削準備時に関するものが挙げられた。
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・切削技術上の問題点は自社で解決するという回答が多かった。
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・未経験の仕事が来た場合に適切な切削工具及び切削条件等を調べることができる無料ホームページの利用希望企業の比率は、“したい”と“内容による”を合わせて約80%であった。このようなホームページへのデータ掲載を希望する工作物は多い順に、ステンレス鋼、工具鋼、アルミニウム合金、高硬度材・焼入れ材、樹脂、等であり、同じく切削法は多い順に、穴あけ、エンドミル加工、ネジ・タップ加工、フライス加工、旋削、等であった。
- 3.外部からの技術支援策等
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・公的機関に支援して欲しい施策は多い順に、技術講演会・講習会・展示会技術講演会の開催、技術相談への対応、融資・補助金制度の拡充、等であった。なお、"そもそも、どこに何を問い合わせたらよいかを教えて欲しい"という声が、特に従業員の少ない企業で多かった。
参考文献
1) 経済産業省 産業技術総合研究所 中国工業技術研究所:「中国地域ものづくり技術調査」報告書(金属切削企業300社の声)、2001年2月刊。
2) 独立行政法人 産業技術総合研究所 産学官連携部門 中国産学官連携センター ものづくり基盤技術支援室:第2回「中国地域ものづくり技術調査」報告書(金属塑性加工企業144社の声)、2002年2月刊。
3) 独立行政法人 産業技術総合研究所 産学官連携部門 中国産学官連携センター ものづくり基盤技術支援室:第3回「中国地域ものづくり技術調査」報告書(材料研削・研磨加工企業224社の声)、2003年2月刊。
4) 独立行政法人 産業技術総合研究所 産学官連携部門 中国産学官連携センター ものづくり基盤技術支援室:第4回「中国地域ものづくり技術調査」報告書(材料溶接加工企業265社の声)、2004年3月刊。
5) 独立行政法人 産業技術総合研究所 産学官連携部門 中国産学官連携センター ものづくり基盤技術支援室:第5回「中国地域ものづくり技術調査」報告書(材料鋳造企業89社の声)、2005年2月刊。