4.実験結果と考察
(1)工具損傷形態
図2-1から図2-5にかけて、SUS304切削時の各工具の損傷状態を示す。
焼結CBN工具は、低速(150m/min)においても、高速(250m/min)においても、CBN工具の高い硬度と高い耐熱性から考えて意外なほど多く、逃げ面摩耗およびクレータ摩耗ともに進行する。
サーメット工具(TiN-TaN系)は横切れ刃の境界部がわずかに損傷するが逃げ面摩耗、クレータ摩耗ともに非常に少ない。
セラミックス工具(Al203系)は、逃げ面摩耗はかなり進行するが、クレータ摩耗は極めて少ない。
セラミックス工具( Al203-TiC系)は、逃げ面の摩耗に関しては、低速域においてセラミックス(Al203系)よりも少ない。しかし、高速域においては、ややチッピングが認められる。なお、すくい面摩耗はほとんど発生していない。
セラミックス工具(Si3N4系)は、低速域から高速域にかけて、逃げ面摩耗およびクレータ摩耗が、ともに極めて激しく発生する。この原因はSi3N4とSUS304との組合せに問題が有るものと考えられる。
(2)工具摩耗
(3)切削仕上げ面
図3-1および図3-2に、SUS304切削時の各工具による切削仕上げ面の写真と断面曲線を示す。焼結CBN工具とサーメット工具(TiN-TaN系)の断面曲線は、全速度域で規則正しくそろっている。しかしこれ以外の3種のセラミックス工具は、切削速度域によって仕上面およびその断面曲線にバラツキが多い。これは損傷した工具の影響が現われているものと考えられる。
(4)切りくず
採取せず。
(5)切削抵抗
図4-1〜図4-4にかけて、SUS304切削時の各工具の切削抵抗の様子をを示す。
切削速度150m/minにおける切削抵抗の主分力を比較すると、サ一メット(TiN-TaN系)が最も小さく21Kg、セラミックス(Si3N4系)が最も大きく34Kgで、そのほかは中間で、すべて26Kgであった。
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