4.実験結果と考察
(1)工具損傷状態
図1は焼結CBN(CBN系)、超硬合金(WC-Co系)、超硬合金(WC-Co-TiC系)、コーティング(Al203系)、およびコーティング(TiCN系)の、切削終了後の工具、加工表面、図2は切粉の様子である。工具の様子については5種類の工具すべての切削速度で溶着を観察した。低速域では溶着が少ないのに対し高速域では大きな溶着がある。ただ超硬工具の2種については、同じことがいえるが他の3種の工具に比べはるかに溶着が少なかった。チタンの切削では超硬工具が有利であると考えられる。又超硬以外の3種の工具はすくい面上に切粉のさっ過恨がはっきりと残っている。これは切刃の摩耗によるすくい角の変化によると考えられる。
(2)工具摩耗進行曲線
図3に純チタンTi切削時の前・横逃げ面の工具摩耗の進行状態をしめす。図1で見たように溶着の激しいコーティング工具は摩耗の進行が早いようである。工具は溶着と脱落の繰り返しの中で少なからず悪影響を受けていると考えられる。50m/minでは超硬工具(WC-Co系)が一番良い。100m/min、150m/minの切削では超硬2種類と焼結CBNの間にさほど差がなく良い結果を得た。 又200m/minで削った焼結CBNは1分で既にVB=0.2に到達しており良くなかった。
(3)切削仕上げ面
図4に純チタンTiの表面粗さの変化をしめす。すくい面上に溶着が激しく表面粗さに大きな影響を与えるため、工具間、切削速度間の差について述べるのは困難である。
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