4.実験結果と考察
(1)工具損傷形態
図1から試作セラミックス(TiCN-30TiB2系)については1分以内ですべての切削速度で横逃げ面摩耗VB>0.2に遠しており前、横逃げ面、クレーターいずれも欠損剥離が激しく刃先の様を呈していない。それに対し市販セラミックス(Al203-TiC系)は顕著な境界摩耗もなく、前者に比べて耐摩耗性、耐酸化性、耐拡散性に優れていると考えられる。
(2)工具摩耗進行曲線
図3は比較用セラミックス(Al203-TiC系)の前・横逃げ面の工具摩耗の進行状態である。なおこの図には1分以内でVB=0.2に達している試作セラミックスは載せていない。
図から比較セラミックスは30分に達してもVBが0.2に至らないものがほとんどでわずかにテストNO.2において切削速度110m/minにおいて28分くらいで0.2に達している。又工具寿命曲線の図についてはVB=0.1におけるものであるがテストNO.1とテストNO.2は再現性があるようである。
(3)切削仕上げ面
図4に比較用セラミックス(Al203-TiC系)でSKD11を切削した時の表面粗さの変化をしめす。テストNO.1とテストNO.2では10分に至るまでの経緯はちがうが、以降は大体同じような粗さを示し全体としては理論値1.6μmにはおよばない。
(4)切りくず
図2に試作、比較チップでSKD11を切削したときの切削開始時と切削終了時の切りくずの様子を示す。開始時と終了時では長さに変わりは見られないが、カール半径に違いが見られる。これはクレーター摩耗によるチップブレーカーのような働きによるものと思われる。
|