4.実験結果と考察
(1)工具損傷状態
図2はインコネル600切削時の工具損傷状態を示す。
使用した各工具ともV=25m/minから150m/minにおいて、工具逃げ面は異常摩耗を呈し切削初期から切刃部からすくい面にかけてチッピングや欠損を起こした。これらの現象は切削速度が速くなるほど顕著である。
特に、焼結CBN工具は他の工具材と比較して欠損が著しく靭性に劣っている。
(2)工具摩耗進行曲線
図3はインコネル600切削時の横逃げ面及び前逃げ面の工具摩耗の進行状態を示す。
V=25m/minで超硬合金、コーティングとも逃げ面の摩耗幅進行が著しく、この中でもコーティング(Al2O3系,TiCN系)はこの切削条件に不向きと思われる。V=50m/minで超硬合金とコーティングがそれぞれの摩耗領域を形成している。
V=100m/minで横逃げ面摩耗幅に工具間の差が現われコーティングについては、V=50m/minより摩耗幅を小さくしている。
(3)切削仕上げ面
図4にインコネル600の切削仕上げ面粗さ経過線図を、図5に仕上げ面粗さ線図の一例を示す。
仕上げ面粗さ線図が示すように切屑の溶着、離脱の影響を受け仕上げ面粗さが悪い。特に、焼結CBN工具は顕著に現われている。一見切削条痕が鮮明で粗さが一定と感応しても、理論粗さ値1.5μmより大きい値を示している。
(4)切屑
図6にV=100m/minにおける各工具の代表的切屑を示す。
CBN工具は不規則連続カール状から不規則むしれ形状の短い切屑となる。超硬合金は規則的連続カール状切屑、コーティングは規則的連続カール状のもつれ形切屑となっている。
(5)切削抵抗
図7に各工具の切削速度の切削抵抗の推移を、図8には切削抵抗線図(主分力、送分力、背分力)の一部を示す。
各工具共、切削抵抗値は近似傾向にある。その中でもコーティング工具が多少低い傾向を示している。又、切削速度が速くなるほど切削抵抗は小さくなっている。
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