ま と め
炭化けい素 SiC

1.実験の目的

焼結ダイヤモンド(C系)のセラミックス(炭化けい素)SiCに対する切削性能の検討。

2.被削材

 SiCセラミックスは、高湿強度、耐熱衝撃、耐摩耗、熱伝導性に優れているが、脆性が大きいため研削加工に頼らざるを得ない現状である。
  切削加工の場合実用上、工具材は被削材の4倍以上の硬度が必要とされていることから、切削可能な工具材はダイヤモンドが有望である。表1に使用した炭化けい素SiC材の諸特性を示す。

3.工具材

1に使用した焼結ダイヤモンド(C系)の諸特性を示す。
  被削材の硬度の約5倍である。図1に切削の工具すくい面の状態を示す。

4.実験結果と考察

(1)工具損傷状態

2はSiC切削時の工具損傷状態を示す。
  25,53m/min共に切削時間1分後急激な摩耗により逃げ面が削り取られた形状になる。

(2)工具摩耗

V=25m/minで1分切削後VB=1.3o,V=53 m/minで20秒切削後VB=1.1mmとなり実切削は不可能となる。

(3)切削仕上げ面

3に切削前の仕上げ面(ダイヤモンド砥石による研削面)と切削後の仕上げ面を示す。
  25m/minでは、研削面とほぼ同様の値を示しているが、切削が進行するに従い工具の摩耗により切り込みが減少しており形状精度が悪い。
  53m/minでは送りの設定が大きくなったこともあり、初期切削より表面は脆性破壊を起こし非常に荒れた面となった。

(4)切込量の変化

4に切削面全体のプロファイルを示す。初期設定切込み量(0.2mm)とほぼ同様の刃先摩耗が生じていると思われ、最終的には工具摩耗面と被削材が摩耗する状態で切削は行っていない。

5.結論

(1)25, 53m/minの切削速度で炭素けい素SiCを焼結ダイヤモンドで切削する1分以内に逃げ面摩耗が1mm以上に達し実切削は不可能になる。

(2)表面粗さは、脆性破壊が生じないと研削面とほぼ同様の粗さであるが送りが大きいと脆性破壊により非常に荒れた面になる。

(3)切削中の刃先後退量は、1分切削後に0.2mm程度に達し被削面と摩耗するだけとなる。