4.実験結果と考察
(1)工具損傷形態
図2-1および図2-2はSUS304を1分間切削した時の各工具の損傷状態を示す。
コーティング工具(Al203系)は、切削速度の全速度域において、すくい面の切りくず擦過痕がかなり深くついている。一方、逃げ面の摩耗は1分間の切削にしてはかなり多く、均一なアブレッシブ摩耗のようである。
セラミックス工具(TiB2-30MoSi2系)は、切削速度80m/minのときに横切れ刃境界部にかなり大きな欠損が認められる。また欠損がすくい面にも広がっている。120および180m/minでは、横切れ刃部境界部の欠損とその欠損部やすくい面に、切りくずの一部がかなり付着している。この試作工具には、被削材SUS304が付着しやすいようである。
セラミックス工具(Si3N4-7A1203-25SiC系)は、切削速度80、120m/minにおいて、わずか1分間の切削にもかかわらず、逃げ面摩耗が大きく現われており、特に120m/minではすくい面に深いクレータ摩耗も発生している。なお、180m/minでは切削時間55秒で刃先部が大きく欠損した。
切削速度120m/minで、1min切削したときの、工具の逃げ面摩耗量は、コーティング工具(Al203系)0.15mm、セラミックス工具(TiB2-30MoSi2系)0.08mm、セラミックス工具(Si3N4-7Al203-25SiC系)は0.65mmであった。
(2)工具摩耗
セラミックス工具(Al203系)の逃げ面摩耗は、1分間の切削にしては大きいので1分以降は実験を中止した。
(3)切削仕上げ面
図3にSUS304切削時の、切削開始直後の仕上面の写真と断面曲線を示す。コーティング工具(Al203系)の切削仕上面は、全ての速度域でほとんど変わらない。これに対して、試作工具の切削仕上面には工具の損傷の影響が現われており、一定ではない。
(4)切りくず
採取せず。
(5)切削抵抗
測定せず。
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