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鋳型種類

 溶融金属を注入して鋳物を作るための型を鋳型という。この鋳型を大別すると鋳物砂によって作る砂型と、金属を用いる金型に分けることができる。金型はコストが高いが、高強度で耐磨耗性に優れているので多量生産の工業的用途として使われることが多い。一方、砂型は鋳物の凝固速度が遅く、鋳型の機械特性は金型に比して劣るが、コストが安く、工期が速いこと、形状に対する柔軟性があることなどにより広く使われている。

 砂型には使われる鋳物砂を粘結するための材料の種類によって普通鋳型と、特殊鋳型に分けることができる。普通鋳型は粘結剤として粘土系のものを用いるものであり、特殊鋳型では粘土系以外の粘結剤を用いる。

普通鋳型では模型を雄型として鋳物砂で作った雌型の鋳型に直ちに溶湯を注ぐ方式の生型(なまがた)と、生型を乾燥して注湯する乾燥型がある。生型は小物に適している。一方、乾燥型は生型に比べて強度も大きく、鋳型からの水分の吸収も少ないので大型の鋳物に使われる。

特殊鋳型では砂型の強度を上げるために粘結剤として水ガラス、セメント、フラン樹脂、その他の樹脂などを用いるもので、これらは造型後放置して自動的に硬化させるので自硬型鋳型と呼ばれる。これは更に粘結剤の組成により無機系鋳型(水ガラス系、セメント系)と有機系鋳型(樹脂類系)などに細分することができる。この両者の比較を表1に示す。

その他、特殊鋳型としてシェルモールド法と、ロストワックス法がある。
シェルモールド法は砂に石炭酸系合成樹脂粉末を3〜4%混ぜて作られたレジンサンドを用いる。これを予め金属で作られた模型を熱してその上にこのレジンサンドを振り掛け、一定時間放置するとレジンサンドが硬化しシェル(殻)となる。これを砂で周辺を固めて鋳型とする方法である。
ロストワックス法は模型として蝋を用い、この模型の周辺に鋳物砂を詰め加熱すると、模型の蝋は溶けて流出するので、流出後の空間を鋳型とする方法である。

特殊鋳型にはこの他熱硬化性鋳型、ガス硬化性鋳型などがある。いずれも鋳型を硬化するための条件で分類されたものである。

項目

無機自硬性鋳型

有機自硬性鋳型
砂質の影響 少ない
多 い
粘結剤の使用量 多 い
少ない
粘結剤の価格 安 い
高 い
混 錬 ほぼ容易
容 易
可使時間 短 い
ごく短い
造 型 容易(要つき固め)
容易(軽い振動)
木型の使用
型(模型)抜き やや困難
困難

鋳型の常温温度

やや大
鋳型の必要性 大(焼着き防止)
大(洗われ防止)
ガス発生量 少ない
多 い
型ばらし性 困 難
容 易
砂の再生 困 難
容 易
起こりやすい鋳造 焼着き・ガス欠

ベーニング・ガス

欠 陥 陥・寸法不良
欠陥・浸炭・浸硫
作業環境 やや悪い(粉じん)
やや悪い(臭気)
公害対策 困難(廃棄砂) やや困難(臭気)
表1 無機自硬性鋳型と有機自硬性鋳型の比較1)

1) 日本鋳造工学会編、鋳造工学便覧、p79、丸善 (H14)