切削加工に関わる回答結果


問13 情報の有用性

問13 本研究開発では切削加工条件、切削加工事例データベースの開発に関して、下記の項目についてデータを実験測定などにより収集する予定でおります。この中でニーズの高いものを知ることを目的にお尋ねします。下記の項目のなかで貴社にとって有用性の高い情報はどれでしょうか。該当する番号に○をつけてください。(最大5つまで)

1.ステンレス材の加工データ
ステンレス材はすでに加工技術は確立されているとされてはいるが、取扱量が多く加工トラブルを起こすことが多い。ステンレス材の加工データ、トラブル解決事例を広く収集公開して欲しい。
2.難削材の加工データ
耐熱合金(インコネルなど)、チタン合金、ハイシリコンアルミ、高硬度鋼などの難削材については公開されたデータはきわめて少ない。難削材の加工データ、ノウハウの情報を収集、公開して欲しい。
3.高速切削
切削加工の国際競争力強化のためには、より高速切削を取り入れていく必要がある。高速切削に関する加工データ、加工事例の充実を望む。
4.ドライ・セミドライ加工 
切削液の処理の手間、環境負荷の問題から、切削液の使用量を最小限にするドライ/セミドライ加工に関するデータを充実するべきである。
5.前加工の影響 
被削材の前加工(鋳造、鍛造、圧延など)が切削加工の結果へ影響を与えている。前加工の切削加工への影響を広く調べたデータベースが必要。
6.加工トラブル解決事例 
工具、切削条件の適切な選択だけでは解決できない加工トラブルは多々ある。そのような加工トラブルの事例集を多数収集し、その原因とその対処法を整理する。
7.加工法改善事例 
切削から他の加工法への転換ないし他の加工法から切削への転換事例、あるいは、ジグ、カッターパスなどの工夫でコスト、精度の改善、トラブル回避を実現した事例を収集、整理し、公開する。
8.データの網羅性 
工具と被削材の組み合わせについては最適なものに関する切削条件はカタログなどから知ることができるが、それ以外の組み合わせに関するデータは入手しにくい。そのようなデータも取り込んだ網羅性の高い加工条件データベースが必要。
9.工具メーカ間のデータ比較、検証
工具メーカカタログには自社製品間の比較データは詳細に掲載しているが、他社製品との比較は会社名を明らかにしないなど不十分であり、工具メーカ間の性能比較が困難である。公的機関で工具メーカ間の加工データを比較、検証し、公開する。
10.切削現象のより深い理解につながる詳細データ
切り屑生成高速度撮影、加工前と後の被削材顕微鏡写真、工具摩耗状態、加工動力の変動など。
11.高品位加工のためのデータ
工具、被削材、加工条件と加工残留歪みの関係に関する詳細データ。
12.ジグの選定、取り付けに関するデータ
加工精度、加工トラブルとジグ選定/取り付けの関係に関する事例データとその分析。
13.その他の利用したい情報




集計結果

集計結果を図28に示す。インターネットを経由した情報提供という制約の中で企業が求める情報を調査した。高速切削(138社)、難削材加工データ(122社)、加工トラブル解決事例(108社)、加工法改善事例(107社)、ドライ/セミドライ加工(100社)、データの網羅性(64社)、工具性能比較(59社)の順に要望が多い。問4、問5の結果では短納期、低コスト、高品位加工、難削材加工の重要性が読みとれたが、それらの項目と対応した情報提供の要望が多いといえる。一方、独自商品開発支援、研究開発支援に資する情報提供はなんとすべきか、今回のアンケートからは残念ながら明らかにできなかった。


図28 有用性の高い情報


(13.その他)

○ 省エネ加工,ネットシェイプ素材

○ 切削オイルについての情報→水性タイプツール、加工機への影響

○ 電気加工(放電、ワイヤーカット)の加工歪量、ワイヤーカットの真直度データ

○ 種々加工法の最新動向の紹介等があれば便利

○ 全ての加工に加工油剤が関わる全てのデータ

○ CBN焼結体工具は、焼入鋼から超耐熱合金の切削まで幅広く使用されているが、素材選定、工具形状、加工途中の最適化がそれ程進んでいない。その為に普及も遅れている。

○ 当社は工具保持(ツーリング)メーカーでありますが、金型の深彫り加工用として細く長いツールホルダが要求されます。長くするとびびり振動が発生し加工条件を下げなければならず、その対応策が必要。このような改善事例があれば知りたい。

○ 材質が異なった種類銅と鉄、ステンレスと鋳鋼等を張り合わせた肉薄リングの加工の技術的データ